ヘルスメンテナンス① がん検診

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本記事は2023年4月時点でのUSPSTF(United States Preventive Services Task Force)などからの推奨をもとに作成しております。ガイドラインによっては推奨が異なることがあるかもしれませんが、ご了承下さい。

肺がん

(USPSTF)
・50-80歳で、20 pack years以上の喫煙歴がある症例では、毎年低線量CT(LDCT)を行う

※15年以上禁煙している症例は除く
※背景疾患などにより予後が期待できない症例は除く

胃がん

(胃がん検診ガイドライン)
・50歳以上では2-3年ごとのスクリーニング検査を行う
・検査は、胃X線検査あるいは胃内視鏡検査のいずれかを行う

※ペプシノゲン検査、H.pylori抗体検査、は現時点で推奨なし
※USPSTFでは記載なし

大腸がん

(USPSTF)
・45-75歳ではスクリーニングを行う
・76-85歳では症例に応じて(前癌病変の腺腫性ポリープまで約10年かかるといわれており、これまで定期的なスクリーニングを受けてきているなら有益性は少ない)
・検査方法は1年ごとの便潜血検査(化学法ないしは免疫法)、あるいは10年ごとの全大腸内視鏡検査、5年ごとのCT colonography、など

※家族歴がある症例や、FAP, HNPCC, IBDなどの背景疾患がある症例では推奨が異なる

子宮頸がん

(USPTSF)
・21-29歳の女性で3年ごとの細胞診を推奨する
・30-65歳の女性で3年ごとの細胞診、ないしは5年ごとのHPV検査±細胞診、を推奨する
・20歳以下の女性ではスクリーニングを行わない
・66歳以上の女性でこれまで適切な検査が行われておりリスクが少ない場合は以降スクリーニング検査を行わない

(子宮頸がん検診ガイドライン)
・20-69歳の女性で2年ごとの細胞診を推奨する
・30-60歳の女性で5年ごとのHPV検査を推奨する
・細胞診とHPV検査の併用は推奨しない

乳がん

(USPTSF)
・50-74歳の女性で2年ごとのマンモグラフィーを推奨する
・40-49歳の女性では症例に応じて2年ごとのマンモグラフィーを検討する (家族歴のある人にはより積極的に考慮してよい)
・75歳以上の女性ではメリットを示すだけの十分なエビデンスはない

※日本乳癌学会やNCCN(National Comprehensive Cancer Network)などでは40歳以上からスクリーニングを推奨

前立腺がん

(USPSTF)
・55-69歳の成人男性ではPSA測定によるスクリーニングについて症例ごとに判断する
・70歳以上の成人男性ではPSA測定によるスクリーニングを推奨しない

※PSA測定により前立腺がん死亡がわずかに減らせたというRCTがある一方で、偽陽性が多いこと、前立腺生検や治療による合併症が無視できないことなどから、PSAスクリーニングを行うことはcontroversial
※各学会によって提言が異なるが、大事なのは「sheared decision making」。検査による利益、害、検査の不確実性を患者さんに共有し、意思決定を行うべき。

検診を推奨しないがん

・膵がん:無症候性の成人に対して超音波、CT、MRI、EUS、腫瘍マーカーなどのスクリーニングは行わない

・卵巣がん:無症候性の成人に対して経膣超音波やCA-125などを用いたスクリーニングは行わない (※卵巣がんや乳がんの家族歴がある場合は要検討)

・精巣がん:思春期以降の人に対してスクリーニングは行わない

・甲状腺がん:無症候性の成人に対して頸部触診や超音波検査を用いてのスクリーニングは行わない

さいごに

自分が普段臨床医として働いていてあまり関わることがない分野なので、実臨床と乖離があるかもしれません。何かありましたら遠慮なくご意見いただけると幸いです。

生活習慣病やワクチン接種についてもそのうちまとめます。そのうち、、、

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